2025/10/1
熊本出張記 イ草のふるさとを訪ねて
先日、当店で取り扱っているイ草の産地として有名な熊本県八代市を訪れました。
今回の出張の目的は、お付き合いのある農家さんへの先の熊本豪雨のお見舞いと、新しいイ草の視察です。
いつもお世話になっている二つの農家さんを訪問しました。
まず最初に訪ねたのは、当店の一番の人気商品「いち推し」に使用しているイ草を生産している泉歩さんの工場です。


泉さんの手がけるイ草は、当店が迷わず仕入れを続けているほど信頼のおける一品です。
その理由は、徹底した品質管理にあります。
今年の素材も見事な仕上がりになっており、入荷が今からとても楽しみです。
続いて訪ねたのは、以前にイ草の刈り取り体験でもお世話になった今田修さんの工場。
約3年前に息子さんが事業を継がれ、私自身も代替わりを経験しているため、どこか同じ立場として共感と励ましの気持ちがあります。
しかし、先日の災害ではこの地域が最も大きな水害に見舞われました。
災害の前日に仕上げたばかりの商品も水没し、その被害総額は計り知れません。
一度水に浸かったイ草はにおいや変色の原因となるため、廃棄せざるを得ない――職人にとってこれほど悔しいことはありません。


そんな困難を乗り越えて、生産を再開された今田さんが仕上げた今年のイ草を見せていただきました。
実物を手にすると、その仕上がりの美しさがひときわ際立っていました。
品質も申し分なく、変わらぬ努力と技術が感じられます。
今田さんも人気のある農家さん。私たちも力を尽くし、このイ草を多くのお客様にお届けしたいと強く思いました。


今年は水害の影響で生産が遅れ、当店の取引先の倉庫の畳表も通常より少ない品数でした。
中には残念ながら復旧できず廃業の決断をせまられた農家さんもいらっしゃると伺いました。
一人の職人として、またこの業界の一員として、国産素材の魅力と、その背景にある生産者の思いを、より多くの方に伝えていきたいと感じています。
最後に、今回温かく迎えてくださった泉さん、今田さんをはじめ、被災に見舞われたすべての農家の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
そして、再び立ち上がり、素晴らしい素材を届けてくださる皆さまの姿に深い感謝と尊敬の念を抱いています。ありがとうございます。



